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ご挨拶

2024年7月5日

バイオマスは生産と消費をうまく繰り返せば、持続的に使用できる再生可能資源です。また燃料として使用すると二酸化炭素が排出されますが、原料となる植物の生長過程で光合成により空気中の二酸化炭素が固定されるので、差し引きすると空気中の二酸化炭素濃度を変化させません。この性質はカーボンニュートラルと称されており、バイオ燃料が地球温暖化対策の一手段として期待される理由です。また、バイオマスは太陽光や風力など他の再生可能エネルギーとは異なって、化学エネルギーの形態であるため、貯蔵や運搬がし易く、輸送用燃料としての利用が進められるとともに、バイオマスプラスチックなどマテリアルとしても利用されています。
しかし、生産と消費をバランスさせるのは容易ではなく、不適切な事例も指摘されています。また、バイオマスを燃料として利用する際には、運搬や変換などの工程でエネルギーを使用するため、実際にはカーボンニュートラルになりません。このため、ライフサイクルでの環境負荷を分析し、化石燃料など他の資源と比較することが必要です。
これらの課題に対応して、適切なバイオマスの利活用を推進するため、本協会はバイオマスについての情報収集、調査分析、人材育成、コンサルティング、また原料にバイオマスを使用した商品に付与される「バイオマスマーク」の認定などの業務を行っています。
バイオマスは種類と利用法が多いため、適切な利用拡大には、産学官連携が重要で、産業においては、農林水産業、製造業、エネルギー事業、運輸業、廃棄物再資源化事業、金融業など、多くの分野の方々のご協力が必要です。引き続き皆様方のご指導、ご支援をいただきたくお願い申し上げます。

2024年7月
一般社団法人日本有機資源協会 会長
東京大学名誉教授
芋生 憲司